骨盤矯正って本当にできるの?──その仕組み、ちゃんと知ってますか?
骨盤矯正って本当にできるの?──その仕組み、ちゃんと知ってますか?
「骨盤のゆがみを整えると、姿勢がよくなる」
「足の長さがそろった!すごい!」
そんな声をSNSや口コミでよく目にしますよね。
でも、ちょっと待ってください。
本当に“骨盤そのもの”を矯正できていると思いますか?
骨盤は、そう簡単に動かせる構造ではない
まず、はっきり言っておきます。
人の手で骨盤の形そのものを変えることはできません。
骨盤は、腸骨・坐骨・恥骨・仙骨などが強靭な靭帯や関節でがっちりと結合された構造体です。
解剖学的にも、成人の骨盤が「手技だけで矯正される」ことはまずありません。
ではなぜ、多くの人が「矯正された」と感じるのか。
軟部組織への刺激で“感覚”が変わるだけ
いわゆる「骨盤矯正」として行われている多くの手技は、
骨盤に付着している筋肉や筋膜(軟部組織)へのアプローチです。
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腰部・臀部・股関節まわりの筋肉
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大腿部や膝にかけての筋膜
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それらに存在する感覚受容器(固有受容器)
これらに刺激が入ることで、
脳が「姿勢が整った」「体が軽くなった」と認識するのです。
その結果——
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股関節の動きが良くなる
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膝の伸びがスムーズになる
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身体がまっすぐに立ちやすくなる
といった変化が起き、
「骨盤が整った」と錯覚してしまうというわけです。
足の長さが揃った?骨盤が立った?でも…
確かに施術後、「左右の足の長さが揃ったように見える」こともあります。
「腰が軽くなった」と感じることもあるでしょう。
でもそれは、骨盤の形が変わったわけではありません。
変わったのは“感覚”と“動きやすさ”であって、
骨盤の構造自体が手技で変化したわけではないのです。
では、骨盤ケアに意味はないのか?
もちろん、軟部組織への丁寧なアプローチや、神経系への刺激が
姿勢や動作に良い影響を与えるのは事実です。
ただし、それを「骨盤矯正」と表現してしまうのは、
やや誤解を招く言い方かもしれません。
正しい知識で、正しく体を整える
私たち施術者の役割は、
身体に起きている現象を正しく捉え、
その上で、的確なアプローチを提供することだと考えています。
“なんとなく整った気がする”ではなく、
本当に今、身体のどこがどう変わったのかを
一緒に理解しながら進めていくことが大切です。
おわりに
骨盤矯正という言葉が一人歩きしてしまっている時代だからこそ、
今一度、身体の仕組みを冷静に見つめ直してみませんか?
本当に変わるべきは「骨盤」ではなく、
“あなたの身体の使い方”かもしれません。